恋愛における「待つ力」の偉大さ
動きたくない時、動けない時は誰にでもある。
私にもあった。恋愛がドロドロしていただけじゃなく、仕事も家族もすべてがうまくいかず、孤独にさいなまれていた時期。「新しい恋愛がしたい」「人恋しい」と切実に思っていたものの、どうしても、動けなかった。仕事がら、人にはたくさん会っていたし、いろんな交流はあったけれど、本当のところ、誰にも何にも心を開けなかった。そういう自分が怠惰で勇気がないように思えて、恋っぽいものに身を投じてみるものの、根底のところでは心が動かなくてもっと落ち込んだ。うたかたの恋でも、楽しめたらいいのに、それすらも楽しめなかった。
それでも、時間が流れるうちに、日々を積み重ねるうちに、ゆっくりゆっくり元気になっていた。
無自覚だったけれど、あの頃、私は自分が再生するのを「待っていた」んだと思う。
最初は、動いているのか止まっているのか、分からないくらいのんびりとした速度で、次第に心地よいリズムで、再生していった。
再生した後は、ひとかわむけたみたいに心が軽くなった。少しづつ自然と、自分のまわりに好きな人が集まってきた。相手に素直に心を開くこと、深く心を通わせるということの大変さとよろこびみたいなものが、以前よりも、少しだけ、でも確実に実感として得られるようになっていた。
よく「恋人が途切れない人」がいる。うちの妹とか、一部の友だちもそういうタイプだ。次々に素敵な恋愛関係を育めるこ