緑茶・新茶に異変。過当競争の中で、生き残るのは?

      其他,还有吗 2006-6-17 15:19
中国茶評論家・工藤佳治

銘茶といわれるものが何銘柄くらいあるのか。4、5年前に数えたことがある。中国人からは3000とも6000ともいわれるので、そんなにあるはずがない、と……。それまでに飲んだお茶や聞いたお茶、関係の事典などに載っているお茶をクロス集計した。結果は、約1350銘柄。

 多いとするか少ないとするか評価はわかれるが、ワインや焼酎と同じようだな、と感じる。

 集計したうち約90%は「緑茶」だった。

 中国茶の場合、地域性が強い。そこで生産されるお茶は、その地域を中心に飲まれている。地方の有名なお茶であっても、大都市の店ではほとんど売られていない。その土地に行かなければ買えないお茶が多い。

 一方、緑茶、新茶に「ニューフェイス」が続々と登場してきている。今までは、その地域のお茶は、作り手が違っても同じ名前で出てくる。たとえば、「龍井茶」はだれが作っても「龍井茶」だった。しかし、同じ地域の中に、新しい銘柄が続々と誕生してきた。昨年あたりから気づいた現象である。

お茶の展示会もドンドン増えている。私が4月末から5月末に2度訪れた、計1週間ほどの間に見た展示会だけでも、杭州と寧波、青島といった具合である。それら展示会に新銘柄のお茶が出展され、プロモーションされている。

 中国の「改革開放経済」は、会社づくりを容易にし、今、茶生産工場にもその波がきている。「野菜づくりをしているよりは、お茶の方が儲かるのでは」という動機が多いと聞くが、新銘柄の数は半端ではない。

 例えば、寧波の展示会のリストを見てみる。寧波で古くから作られている銘柄は「恵明茶」「望府銀毫」「四明十二雷」「望海茶」「東海龍舌」などだが、展示会へ出品されたお茶は、「海和森玉葉」「平平頂芽茶」「寧波白茶」「奉化曲毫」「霊峰茶」「三山玉葉」「慈溪南茶」「七頂玉葉」など数十種類にのぼる。 一地域だけでこの数なので、全国ではここ数年でゆうに数百は増えているであろう。

 今までは、国営工場が行政区域に一つか二つだったものが、小規模の民間資本でも設立できるようになったためである。従来、同じ銘柄で出していたものを、違う商品名にしてこそ独自の利益を求められる。その勢いは止まらないようだ。

 とはいえ、いくら人口世界一の中国でも、この数は多すぎる。我々の眼から見ると、まさに「過当競争」。数年で消え去るお茶が出てくることは必須であろう。結局、生き残るのは宣伝力と投入するお金の力。さらには、地方政府の後押しである。「地域産業振興」のプログラムに乗れば、テレビなどマスコミへの露出度も増える。

 ここ十年で、売り上げを飛躍的に伸ばし、評判になったお茶がいくつかある。その「夢」を皆が追いかけているように見える。

 「開化龍頂」「望海茶」がそうであった。5年ほど前から成功しているのは「安吉白茶」。「白茶」といいながら実態は「緑茶」で、先例にあやかろうと「白茶」と名をつけた緑茶が急増している。

 では、この次に人気になるお茶は何か? その兆しは見えている。「口コミ」で広がっている。今春、各地で中国茶の権威たちから、「このお茶を知っているか」と聞かれた。これは「安吉白茶」の時と同じである。果たして、無名だったお茶が2、3年後に引っ張りだこになるであろうか。私は、3年ほど前から飲み始め、そのお茶にすでに魅せられている。

 「緑雪芽」。福建省福鼎で作られる緑茶である。

 次回は、「ハマるなかれ。茶壺(急須)の世界」を。

(06/14)


緑茶・新茶に異変。過当競争の中で、生き残るのは?
中国茶評論家・工藤佳治

――「改革解放経済」の波が中国茶にも



 銘茶といわれるものが何銘柄くらいあるのか。4、5年前に数えたことがある。中国人からは3000とも6000ともいわれるので、そんなにあるはずがない、と……。それまでに飲んだお茶や聞いたお茶、関係の事典などに載っているお茶をクロス集計した。結果は、約1350銘柄。

 多いとするか少ないとするか評価はわかれるが、ワインや焼酎と同じようだな、と感じる。

 集計したうち約90%は「緑茶」だった。

 中国茶の場合、地域性が強い。そこで生産されるお茶は、その地域を中心に飲まれている。地方の有名なお茶であっても、大都市の店ではほとんど売られていない。その土地に行かなければ買えないお茶が多い。

 一方、緑茶、新茶に「ニューフェイス」が続々と登場してきている。今までは、その地域のお茶は、作り手が違っても同じ名前で出てくる。たとえば、「龍井茶」はだれが作っても「龍井茶」だった。しかし、同じ地域の中に、新しい銘柄が続々と誕生してきた。昨年あたりから気づいた現象である。



 お茶の展示会もドンドン増えている。私が4月末から5月末に2度訪れた、計1週間ほどの間に見た展示会だけでも、杭州と寧波、青島といった具合である。それら展示会に新銘柄のお茶が出展され、プロモーションされている。

 中国の「改革開放経済」は、会社づくりを容易にし、今、茶生産工場にもその波がきている。「野菜づくりをしているよりは、お茶の方が儲かるのでは」という動機が多いと聞くが、新銘柄の数は半端ではない。

 例えば、寧波の展示会のリストを見てみる。寧波で古くから作られている銘柄は「恵明茶」「望府銀毫」「四明十二雷」「望海茶」「東海龍舌」などだが、展示会へ出品されたお茶は、「海和森玉葉」「平平頂芽茶」「寧波白茶」「奉化曲毫」「霊峰茶」「三山玉葉」「慈溪南茶」「七頂玉葉」など数十種類にのぼる。 一地域だけでこの数なので、全国ではここ数年でゆうに数百は増えているであろう。

 今までは、国営工場が行政区域に一つか二つだったものが、小規模の民間資本でも設立できるようになったためである。従来、同じ銘柄で出していたものを、違う商品名にしてこそ独自の利益を求められる。その勢いは止まらないようだ。

 とはいえ、いくら人口世界一の中国でも、この数は多すぎる。我々の眼から見ると、まさに「過当競争」。数年で消え去るお茶が出てくることは必須であろう。結局、生き残るのは宣伝力と投入するお金の力。さらには、地方政府の後押しである。「地域産業振興」のプログラムに乗れば、テレビなどマスコミへの露出度も増える。

 ここ十年で、売り上げを飛躍的に伸ばし、評判になったお茶がいくつかある。その「夢」を皆が追いかけているように見える。

 「開化龍頂」「望海茶」がそうであった。5年ほど前から成功しているのは「安吉白茶」。「白茶」といいながら実態は「緑茶」で、先例にあやかろうと「白茶」と名をつけた緑茶が急増している。

 では、この次に人気になるお茶は何か? その兆しは見えている。「口コミ」で広がっている。今春、各地で中国茶の権威たちから、「このお茶を知っているか」と聞かれた。これは「安吉白茶」の時と同じである。果たして、無名だったお茶が2、3年後に引っ張りだこになるであろうか。私は、3年ほど前から飲み始め、そのお茶にすでに魅せられている。

 「緑雪芽」。福建省福鼎で作られる緑茶である。

 次回は、「ハマるなかれ。茶壺(急須)の世界」を。

(06/14)




中国茶メモ


●安吉白茶(あんきつはくちゃ)



 浙江省の西北部、安吉で作られる緑茶。このあたりは、唐代からお茶生産が行われていたという。1980年代初めから、「安吉白片」という緑茶の銘茶が作られ、評価が高かった。このお茶は、それとは別のお茶。

 芽に白い産毛が多い茶樹が発見され、それをもとに移植栽培され、1990年代半ばから生産、流通が始まった。

 清らかで爽やかな香りが特徴で、あと味の甘さも魅力。他の緑茶より少し高価であるにもかかわらず人気を博し、今は生産工場も増えて中国緑茶のヒットブランドになっている。



●緑雪芽(りょくせつが)



 福建省で、白茶の産地として有名な福鼎で数年前に作られ、売られ始めた緑茶。福鼎は、「福鼎大白種」という茶種が有名で、この茶葉を使った白茶、「白毫銀針」の生産地として知られる。

 このお茶は、福鼎大白種から改良された茶樹で栽培される。新芽を中に抱え込んだままの状態で摘み、製茶する。緑があざやかで、その中から新芽の白がのぞく。

 お茶をいれると、草のように生き生きとした力強い味わいを感じるが、心地のよい新鮮さをあわせ持ち、気にはならない。少し口に残る渋みも、飲みすすむうちに甘さに変わり、後まで続く。



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