手のぬくもり
ある晴れた日の午後、褥中でウトウトとしていた 愛優 は、廊下を走る足音に完全に目を覚まし、身をおこした。と同時に聞こえてきたのは
愛優 ！」「昌浩、少し静かにしろ！眠ってたらどうするんだ！」「起きてるって。いちいち五月蠅いなぁ、もっくん」
「もっくんいうな、晴明の孫！」「孫言うなーっ！！」という声。 愛優 の双子の兄昌浩とその相棒のもっくん。
もっくんとは、十二神将の一人火将騰蛇ののことである。普段は白い小さな犬か大きな猫のようなかわいらしい姿でいる為、昌浩に「物の怪のもっくん」というありがたくも何ともない字をつけられてしまったのである（合掌)
さっきのようなやりとりは日常茶飯事のため、 愛優 は平然としている（いいのか、それで;）。
「何か用事があるのではないのか？」という声とともに姿を現したのは騰蛇同様十二神将木将六合。「「六合」」「彩煇」
普段寡黙な六合が口を添えたので、驚く昌浩と紅蓮の声、六合の突然の登場に目を瞬かせた後、うれしそうに微笑んだ 愛優 の声とが見事にハモった。
「用があるのなら早く言ったらどうだ？」明らかに不機嫌な声。六合が感情を表に出すのは珍しい。
まあ、理由がわかっているので仕方がないことなのだが.
実は先日、愛優は風邪をひいて床に伏していた。ようやく起きあがれるようになったのに、またぶり返されてはたまらない。なぜなら、愛優はもともとからだが弱く食が細いため、一度体調を崩せば少なくとも半月は寝込み、食物を全く口にしないからだ。「わかってるよ、六合。今日は市に行ってきたんだ。で、おみやげ。」そう言って昌浩が愛優の前に差し出したのは幾つかの小さな袋。昌浩が愛優に袋を開けるように促すと、愛優は一瞬戸惑うような素振りを見せたが素直に（？）袋を開けた。すると中から出てきたのは数種類の果実のようなものだった。「？なぁに、これ;？果実みたいに見えるけど;。」愛優が首をかしげながら昌浩に問うと「うん、そうだよ。果実を干したもの。これなら愛優でも食べられるんじゃないかな、って思って買ってきたんだ」「どうしてこれなら私にも食べられるの？」
愛優は普段雑炊しか口にすることが出来ない。かたい食べ物は胃がうけつけないからだ。だから昌浩は愛優には食べ物は滅多に買ってこない。買ってこれば愛優は無理にでも食べようとするだろうし、それで苦しむのは愛優だから.
でも、今日市に行ってみると干し果実があった。以前彰子が市に行ったときに昌浩に買ってきたものだ。干し杏が柔らかかったのを覚えていたためそれを買ってきたのだ。
「昌浩？」「あ、ごめん。これなら大丈夫だよ、柔らかいから。愛優だっていつも雑炊じゃ飽きるだろ？」「ありがとう」
そう言って愛優は干し杏を一粒口にした。
「大丈夫？愛優。無理しなくていいんだよ？」「うん。おいしい。」そう言って愛優はもう一つ口に運ぼうとしたが、突然手を止めて考える素振りを見せた。「どうしたのさ、愛優?;」
愛優はなにも言わない。が、どこかを見つめて目を離さない。もしかしてどこか調子が悪いのではないかと心配になった
昌浩が紅蓮に目を向けた。紅蓮も不思議そうにしながらも
「おーい、愛優？起きてるか？」
などと言いながら愛優の目の前で手を振ったり宙返りをしたりしてみるがやはり反応がない[;どうした？」
壁にもたれて座っていた六合が立ち上がって愛優の方へ寄ってきた[;彩煇」
「愛優？なんだ、いったいどうし;」
六合の言葉は愛優が六合の口に入れた異
物によって阻まれた。口にものを入れたまま喋るわけにもいかず、黙ったまま口を動かす。六合の頬がうっすらと赤く染まっているように見えるのは気のせいだろうか。
「ね？おいしいでしょ「あ、ああ;」
和やかな雰囲気に変わっていった二人の様子に昌浩と紅蓮は嘆息した。
[;出よっか」
「そうだな。心配ないみたいだし、ここにいても俺たち邪魔になりそうだしな」
「にしてもあの六合がねぇ;」「同感」
昌浩と紅蓮はそう言いながら音を立てないようにそっと部屋を出て行った。
「愛優、もう休め。」えー、もうちょっとだけ起きてちゃだめ？」
愛優は抗議してみるが、今日は愛優の言うことを聞くわけにはいかない。
「だめだ。また風邪をぶり返したらどうする」（晴明にもなにを言われるかわからんしな;）
「んーじゃーねー、手、握っててもいい？」
六合は目を瞬かせたが、うなずいて手を差し出した。
「あったかい。ねぇ、彩;煇;」
余程疲れて（？）いたのかすぐに寝てしまった愛優を見て六合は微笑んだ。
片手で愛優の手を握ったままあいている方の手で愛優の頭を撫でてやる。
愛優と六合の間には優しくて温かい雰囲気が流れていた。
おまけ
「わー、彰子、もっくん。六合が微笑んでるよ、あの六合が」
「あいつも愛優の前だと簡単に表情崩すからなぁ」
「んー、でも六合も愛優様も幸せそうよ？」
「ほっほっほ;愛優と六合か。おもしろいことになってきたのぅ」
愛優の部屋の前では、物珍しそうにする
昌浩と優しい目を向けている彰子;語る
紅蓮が揃って部屋の中をのぞき、晴明が口元に笑みをたたえてパチンと扇を閉じたとか。
その後、六合が皆からからかわれ、話のネタにされるのはまた別の話である。
完
全文就是这样了。.有时间会翻译
图片如下：
ある晴れた日の午後、褥中でウトウトとしていた 愛優 は、廊下を走る足音に完全に目を覚まし、身をおこした。と同時に聞こえてきたのは
愛優 ！」「昌浩、少し静かにしろ！眠ってたらどうするんだ！」「起きてるって。いちいち五月蠅いなぁ、もっくん」
「もっくんいうな、晴明の孫！」「孫言うなーっ！！」という声。 愛優 の双子の兄昌浩とその相棒のもっくん。
もっくんとは、十二神将の一人火将騰蛇ののことである。普段は白い小さな犬か大きな猫のようなかわいらしい姿でいる為、昌浩に「物の怪のもっくん」というありがたくも何ともない字をつけられてしまったのである（合掌)
さっきのようなやりとりは日常茶飯事のため、 愛優 は平然としている（いいのか、それで;）。
「何か用事があるのではないのか？」という声とともに姿を現したのは騰蛇同様十二神将木将六合。「「六合」」「彩煇」
普段寡黙な六合が口を添えたので、驚く昌浩と紅蓮の声、六合の突然の登場に目を瞬かせた後、うれしそうに微笑んだ 愛優 の声とが見事にハモった。
「用があるのなら早く言ったらどうだ？」明らかに不機嫌な声。六合が感情を表に出すのは珍しい。
まあ、理由がわかっているので仕方がないことなのだが.
実は先日、愛優は風邪をひいて床に伏していた。ようやく起きあがれるようになったのに、またぶり返されてはたまらない。なぜなら、愛優はもともとからだが弱く食が細いため、一度体調を崩せば少なくとも半月は寝込み、食物を全く口にしないからだ。「わかってるよ、六合。今日は市に行ってきたんだ。で、おみやげ。」そう言って昌浩が愛優の前に差し出したのは幾つかの小さな袋。昌浩が愛優に袋を開けるように促すと、愛優は一瞬戸惑うような素振りを見せたが素直に（？）袋を開けた。すると中から出てきたのは数種類の果実のようなものだった。「？なぁに、これ;？果実みたいに見えるけど;。」愛優が首をかしげながら昌浩に問うと「うん、そうだよ。果実を干したもの。これなら愛優でも食べられるんじゃないかな、って思って買ってきたんだ」「どうしてこれなら私にも食べられるの？」
愛優は普段雑炊しか口にすることが出来ない。かたい食べ物は胃がうけつけないからだ。だから昌浩は愛優には食べ物は滅多に買ってこない。買ってこれば愛優は無理にでも食べようとするだろうし、それで苦しむのは愛優だから.
でも、今日市に行ってみると干し果実があった。以前彰子が市に行ったときに昌浩に買ってきたものだ。干し杏が柔らかかったのを覚えていたためそれを買ってきたのだ。
「昌浩？」「あ、ごめん。これなら大丈夫だよ、柔らかいから。愛優だっていつも雑炊じゃ飽きるだろ？」「ありがとう」
そう言って愛優は干し杏を一粒口にした。
「大丈夫？愛優。無理しなくていいんだよ？」「うん。おいしい。」そう言って愛優はもう一つ口に運ぼうとしたが、突然手を止めて考える素振りを見せた。「どうしたのさ、愛優?;」
愛優はなにも言わない。が、どこかを見つめて目を離さない。もしかしてどこか調子が悪いのではないかと心配になった
昌浩が紅蓮に目を向けた。紅蓮も不思議そうにしながらも
「おーい、愛優？起きてるか？」
などと言いながら愛優の目の前で手を振ったり宙返りをしたりしてみるがやはり反応がない[;どうした？」
壁にもたれて座っていた六合が立ち上がって愛優の方へ寄ってきた[;彩煇」
「愛優？なんだ、いったいどうし;」
六合の言葉は愛優が六合の口に入れた異
物によって阻まれた。口にものを入れたまま喋るわけにもいかず、黙ったまま口を動かす。六合の頬がうっすらと赤く染まっているように見えるのは気のせいだろうか。
「ね？おいしいでしょ「あ、ああ;」
和やかな雰囲気に変わっていった二人の様子に昌浩と紅蓮は嘆息した。
[;出よっか」
「そうだな。心配ないみたいだし、ここにいても俺たち邪魔になりそうだしな」
「にしてもあの六合がねぇ;」「同感」
昌浩と紅蓮はそう言いながら音を立てないようにそっと部屋を出て行った。
「愛優、もう休め。」えー、もうちょっとだけ起きてちゃだめ？」
愛優は抗議してみるが、今日は愛優の言うことを聞くわけにはいかない。
「だめだ。また風邪をぶり返したらどうする」（晴明にもなにを言われるかわからんしな;）
「んーじゃーねー、手、握っててもいい？」
六合は目を瞬かせたが、うなずいて手を差し出した。
「あったかい。ねぇ、彩;煇;」
余程疲れて（？）いたのかすぐに寝てしまった愛優を見て六合は微笑んだ。
片手で愛優の手を握ったままあいている方の手で愛優の頭を撫でてやる。
愛優と六合の間には優しくて温かい雰囲気が流れていた。
おまけ
「わー、彰子、もっくん。六合が微笑んでるよ、あの六合が」
「あいつも愛優の前だと簡単に表情崩すからなぁ」
「んー、でも六合も愛優様も幸せそうよ？」
「ほっほっほ;愛優と六合か。おもしろいことになってきたのぅ」
愛優の部屋の前では、物珍しそうにする
昌浩と優しい目を向けている彰子;語る
紅蓮が揃って部屋の中をのぞき、晴明が口元に笑みをたたえてパチンと扇を閉じたとか。
その後、六合が皆からからかわれ、話のネタにされるのはまた別の話である。
完
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图片如下：
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